小林章夫『イギリス人は何にでも賭ける』(亜紀書房 2004)
(『賭けとイギリス人』筑摩書房の増補改版)
採録
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小林章夫著『イギリス人は何にでも賭ける』 レポーター:草場純 2020年6月26日
基本的に読めばわかる本なので、私が気になった2点にだけ言及します。
一点目はp.138「髪の毛略奪」について。 [第6章第5節]
筆者(小林)はこの事件のスキャンダル性を述べているが、実はポープの詩は
オンブルの棋譜になっている。結果として「スキャンダラスな詩」が、『1712年に
書かれたカードゲームの棋譜』という「貴重な記録」になっている。
筆者は「今戦場に歩み寄る彼女の黒い切り札は…」とこの大仰な詩を18行程
訳出しているが、本来は64行にわたる長い詩である。松田道弘訳を援用して
棋譜の解読を試みる。
二点目はp.61「賭博が隆盛を極めた4つの理由」について [第3章第1節]
筆者の挙げる4つの理由は
1.革命が終わり、中産階級が金と余暇とを手に入れる
2.ピューリタンの禁欲主義が徐々に力を失う
3.株式バブルで投機熱が高まる
4.パブやコーヒーハウス、クラブで賭博が盛んに
の4点を挙げる。その一つ一つを軽く吟味した後、その意味するところと、真の
背景について考察する。